January 11, 2006
Style と Design
ひと昔、いや、ふた昔前くらいになるのだろうか。
建築家の努めは、建築の設計にとどまらず、
生活様式、つまり、『ライフスタイル』の提案までも
含まれていたのかもしれない。
しかし、現代の日本において、それは必要なのだろうか。
特に、30~40代の施主たちにとっては、どうなのだろうか。
彼ら(彼女ら)は、子供の頃から、それなりにデザインされたものに
絶えず触れながら、現在に至っているのではないだろうか。
その結果、“モノ”の良し悪しの判断、好き嫌いの区別は
それぞれ独自のものが確立されているのではないだろうか。
そんな彼らは、自分のライフスタイルについてまで、
他人に干渉されたくないのではないだろうか。
もしそうだとするならば、今後の建築家の努めは
いったいどういうものになっていくか。
『Style』については、施主が決める。
建築家は、それを実現するための“家という器”を
『Design』すればいい。
そういうことなのか?
それらには、建築のプロとしての新しい提案も
当然のことながら含まれるだろう。
しかし、これまでのように『やりすぎる』のは
敬遠されるかもしれない。
明確な理由のないデザイン。
建築家の“やってみたい”デザイン。
それらは、ほとんどの住宅には、必要とされなくなるかもしれない。
昨今、雑誌などで取り上げられている、
『デザインされた家』たちは、20年後にはどうなっているのだろうか?
先のエントリーに絡んで、そんなことを考えてしまった。
私は、あくまでも、施主の夢を叶えるために
自分の役割を全うしようと思う。
『家づくりの主役は、何時如何なるときも施主でなくてはならない』
このことだけは、どんなことがあっても
決して忘れてはならない。