Column
家づくりについてのひとり言 (1/4)
最近は、家は「つくるもの」ではなく、「買うもの」になってしまったようです。
住宅展示場や建売の売り出し現場で、実物又はそれに近いものを実際に見て「これ下さい。いくらですか?」. どんな家でも「住めば都」というけれど、賃貸ならいざ知らず、一戸建注文住宅ならば、その規格や出来てしまったものに自分たちの生活を合わせるようにするのはおかしいのではないでしょうか。 確かに、メーカーの家や建売は万人うけするようにつくってあるかもしれませんが、その人毎に仕事、家族構成、生活時間、趣味、思考は違うのだから、みんな同じ家でいいはずがありません。
そもそも、どうしてこんなに同じような家がいっぱいになってしまったのでしょうか。 「今はこういうのが流行ってますよ」「皆さんこれがいいと喜んでいただいてます」という営業マンの一言を聞いて、「じゃあうちもそれで」となっているのでしょうか。 そんなに他人と違う事がいやなのでしょうか。
それでも、雑誌などに出ている自慢の家、素敵な家、などはそのほとんどがオリジナルの家(イージーオーダーではなく完全なオーダー、一品生産品)なのはなぜなのか。 そういう「自分たちだけの家」というのはただ憧れだけで、誰でもが出来るものではなくなってしまったのでしょうか。 確かに、都市近郊では土地の問題(一軒だけを建てるのにちょうどいい土地がもうほとんどない)がありますが、土地をすでに持っている人でさえ建築家と一緒に家づくりをしようとしないのは私には納得出来ません。 家づくりは一生のうちに何度もないことは十分にわかっているのに、そんなに自分流にやるのが恐いのでしょうか。 まず考えるのは悪いことばかりで、「もし失敗したら」「もし**なら」と、そうなった時だけのために依頼先を決めているようにさえ思えるくらいです。 なぜかみんな「家づくり」に対して構えすぎているのではないでしょうか。 「あんな家にしたい、こんな家がいい」と夢をかなえたいと思う気持ちはどこに行ってしまうでしょうか。 実際に工事が始まると、いいところを見つけるのではなく、間違ったところ、だめなところばかりを探そうとしている様に思えます。 もしそうなってしまったらその時点で施工会社とは敵対関係になってしまいます。 それでは楽しいはずの家づくりがつらくて悲しいものに変わってしまいます。