Column
家づくりについてのひとり言 (2/4)
ハウスメーカーや工務店に、設計施工を一式全部任せることは、手間も省けるし責任も一個所に集中できるのでいい面もたくさんあります。 しかし、建築家といっしょに時間をかけていろいろ考えてつくったものと比べると、完成した時の嬉しさはまったく違うのではないかと思います。 たっぷりと考えて、それでもやっぱり失敗したところがあったとしても、自分が考えて決めたことなのだから「それもまた楽しい」とは考えられないものでしょうか。 それくらいの気持ちの余裕があってもいいのではないでしょうか。 どうもみんながピカピカツルツルの家を求めすぎているように思えます。
「敷地の形も大きさも決まっているのだから、誰がやってもたいして違わない」と思っているなら建築家などまったく必要のない事になってしまいます。
しかし、建築家は家づくりのプロであり、そしてまた、よきパートナーです。 我々の知らない空間、平面ではわからない気持ち良さ、光や風の通り道など、そこに住む人たちがいかに快適に過ごすことが出来るかを次々に提案してくれます。 そもそも、建築家と交わす「設計契約」とは『委任契約』であり、施主が思い描いている理想の家に少しでも近づくように、施主に代ってそれらを図面にあらわし、工事がその通りに行われているかを検査することを任せるものであり、施工会社との「請負契約」とは大きく違うものです。 「施主に代って」、または、「いっしょに」家づくりをするのと、「施主に依頼されて(実際は業者の方から売り込んで)」するのとでは似て非なるものではないでしょうか。
「家づくり」には、どんな家にしたいかという構想の時間から、建築家の選定、設計期間、さらに工事期間だけでも三ヶ月から半年、そして、建物が完成して入居してからの手直し・メンテナンス、と考えるといつ始まっていつ終わるのか分からないぐらい時間がかかります。 そしてその間、選択と決定を絶えず繰り返していかなくてはなりません。