June 29, 2007
家の値段-「設計料」の適正金額は? vol.2
前のエントリーの続きです。
やっぱり、設計料の決め方ってどうも納得できない。
でしょうね、施主は。
何でそんなにかかるの、メーカーはサービスじゃん?
とか
紙と鉛筆があれば(今はCADだけど)できていい商売だね。
とか。
いろいろと思うでしょうね。
弁護士、医者、会計士、税理士・・・そして一級建築士
皆、国家資格をもったひと。
なんか、イメージもスタンスも違いますね。
「基本の設計監理料は工事費の○○%です」
という建築家がいるとします。
さらに
「工事費が上がった場合は、その増額分に対しての○○%も頂きます」
これは、建築家側の言い分、考え方。
施主はどんな気持ちだろう?
「えっ、予算は一番最初から言っているのに
その予算内でできない場合ってあるの?」
これがあるんです。
とても頻繁に。
「 じゃあ、予算よりも安くできたときには
設計料も安くしてくれるの? 」
これはありません。
残念ながらほとんどありません。
でもこれって、他のビジネスではあまりないことですよね。
では、建築家は、設計事務所は“ビジネス”をやっているのでしょうか?
これが、ここが、実は根本的な問題なのかもしれません。
“価値と価値の交換” これがビジネス。 ・・・ですよね、きっと。
“設計報酬と設計技術”
“設計報酬と設計能力”
“設計報酬と設計デザイン力”
“設計報酬と設計経験”
“設計報酬と設計知識”
“設計報酬と交渉力”
なのかな?
では、
「うちは予算が厳しい。
だけど、建築家と一緒に家づくりがしたい。
だけど、工事費の10%を設計料に当てると
残りの予算では、随分とグレードを我慢しなくてはならない。
だったら、自分が払える金額、
払ってもいいと思う金額の分だけ
設計してくれないかな? 」
と、建築家に言ったとします。
おそらく、ほとんどの建築家は
「監理までやれないなら、受けられません!」
というでしょう。
・・・なんで????
と、思いますよね。
武士は食わねど、・・・・
って、ことでしょうか?
いや、それとも少し違う気もする。
また、
「自分がつくりたいものができないなら、受けられません」
ということもあるらしい。
・・・・?
「あなたに頼みたいと言っているのに、受けてくれないの?」
って、思いますよね。
設計受けるかどうかを決めるために
まずは施主にテストを受けてもらう。
なんていうことが、昔の建築家にはあったらしいとか。
設計料が安すぎる、という人々がいます。
設計料が高すぎる、という人々がいます。
価値と価値の交換。
設計事務所って、建築家って
やっぱりビジネスじゃないんですかね。
企業内設計者、設計屋さん、設計事務所、建築家、・・・
資格は皆、一級建築士。
だけど考え方が違う。立場が違う。報酬が違う。
一番手取りが多いのは、企業内設計者だったりするのかな。
では、何のために独立して“アトリエ事務所”なるものを立ち上げるのか。
「自分のつくりたいものを設計するため」 なのかな。
では、建築家は芸術家なのか。
これもまた違う。 でしょう、きっと。
建築家ってなんだ?
もう25年以上も業界にいるのに、改めて考える、今日この頃。
(たぶんまた続くでしょう。いつかは分からないけど)
June 23, 2007
「忘れられない」 でちょっと思った
昨日、テレビを見た。
プレミアム10
「ユーミンと歌いたい~寺岡呼人 ゆず 桜井和寿~」
その中で、今回のライブのためにメンバーみんなで
新曲を作っていた。
なんかすごいな~
と思った。
いいな~
と思った。
自分の仕事とも少し似てるのかな~?
とちょっとだけ思った。
その新曲のなかに
「♪忘れられぬ ミュージック~♪・・・」
「♪口ずさめる ミュージック♪」
って感じの歌詞があった。
そこでちょっと思った。
「忘れられない “建築” 」
ってあるのだろうか?
幼稚園、学校・・・、田舎のばあちゃんち・・・
いつか行った、リゾートのコテージ・・・
いつか行った、温泉の旅館・・・、
父が逝った病院・・・
そして、これまでに暮らしたいくつかの家・・・
これって、すべてとてもプライベートな感覚。
いつも通る道で、解体工事が始まる。
「あれ、ここって何があったっけ??」
これは、つくり手としては悲しいこと。
人の記憶に残るような建築をつくる
それは万人の記憶でなくてもいい。
ほんの限られた人でも構わない。
その建築に触れた人の人生の一部になる。
そんな建築のお手伝いをしていきたいなあ~
と改めて思った。
June 20, 2007
私のお客様達は世界一!
一つ前のエントリーで書きました三重の家。
実は引渡しの前日に「雨漏り」がありました。
ふつう、怒りますよね。
すん~ごく、怒りますよね。
でも、このお客様はすごいんです。
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朝妻さん
雨漏りの件 早速 ○○さんが 来てくれました。
ありがとう ございます。
3階の屋根は漏れてない
同じ 3階デッキでも 隣の家側は漏れるけど
お風呂側は漏れない
ので、 何か 違いがあるのかもしれませんね
家内が、○○さんから伺った話では、3階のデッキの床防水塗装を やり直すかも との事でした。
同じ 構造をしていて、漏れていない箇所が あるので 答え はあると思っています。
大変かもしれませんが よろしく お願いします。
ちなみに・・・
私が、 産まれ育った 父の家は (S20年建築)
古い広い日本建築の平屋で、雨漏り、土壁崩落、シロアリ という家でした。
埼玉大宮の 中古の一戸建ても どこからともなく 雨漏りして、水の侵入口が わからない。
そんな雨漏り当たり前の家で育ったので、 ”雨漏り? うん あるかもね” と
あまり神経質な感じではありません。
答えが あるから、そのうち直ると思うよ
くらいで あまり深刻には考えてません。
今までの家の記憶が そうさせるのだと思います。
ただ、台風の時はすごいかもしれなので、
お手数 お掛けしますが よろしく お願いします。
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って、こんなメールを頂きました。
「何があっても雨漏りだけはあってはならない!!」
これ、造り手の最低限の義務です。
絶対にやらなくてはいけないことです。
何が原因だとしても言い訳などできません。
なのに、なのに・・・
お許し頂けるんです。
過去にお手伝いさせて頂いた家の中にも
雨漏りした家が何軒かありました。
その他にも、何も問題がないということは少ないです。
何かしら不具合、不備があります。
それでも、私のお客様たちは怒らないんです。
その上にアグラをかくつもりなど毛頭ありません。
ただただ、お詫びと感謝の念に尽きます。
私はよく現場で
「あれっ、ここ曲がってるよ」
と指摘をします。
職人達はよく
「人間がやることだから、まあ、それぐらいは・・・」
なんて自分たちを正当化します。
でも、たとえ一ミリでも曲がっていれば
それはミスです。
言い訳なんて通じません。
まずは直す努力をする。
最後まで諦めずに直す努力をする。
その気持ちがなくてはいけないと思います。
これが建売住宅ならば絶対にクレームです。
でも、私のお客様たちはそれを
「これくらいはしょうがいよ」
といってくださいます。
“私、お金払う人=一番偉い人”
なんて威張っている人は一人もいません。
「ご苦労様、よろしくお願いしますネ」と
現場にも気を配ってくれます。
私のお客様は、自分が一番の責任者だと
自覚をされています。
「この家づくりが成功するかどうかの
責任は全て自分にある!」
と、そういう自覚があります。
とにかく
肝が据わっているというか
度量が大きいというか
すごいんです。
私の一番の自慢は
そういう方達の家づくりをお手伝いさせて頂いている
ということだといつも実感します。
私のお客様たちは、みなさん世界一です!
感謝、感謝です。
June 16, 2007
“発展的完成”そして、また「初心」を思い出した。
2005年8月15日 初メールを頂戴しました。
初めまして、三重県鈴鹿市のNと申します。
「New House 2002年9月号」でベースメント殿を知りました。
今、鈴鹿の伊勢湾沿いに、土地を購入し、
約1年をかけて新築のプランを練って家を建てたいと考えています。
三重県ですが、ベースメントでProduceしていただく事は可能ですか?
出張が多いので、メールで連絡頂ければ幸いです。
携帯メールに転送され、すぐに確認できるようになっております。
それに対しての私の返信
N様 はじめまして、ベースメントの朝妻です。
この度は、blogへのコメントとあわせてお問い合わせ頂きまして
誠にありがとうございました。
返信が遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。
じつは、すごく悩んでしまい、返信が遅くなりました。
通常、遠方の場合には
「私が直接係わると、交通費等のご負担をお掛けしますので、
よろしければ、そちらの方面へ行ける建築家を
ご紹介することもできますが、いかがでしょうか?」と
いう返信になるのですが、
N様のblogへ頂いたコメントを読んでしまっては、
そんなことも言えず、本当に悩んでいます。
今の自分の気持ちを正直申し上げますと
「N様の家づくりをなんとしてもお手伝いしたい!!」という一心です。
しかし、それにはどうしても余計なご負担をお願いすることになってしまいます。
困りました。もしよろしければ少しの間、メールでやり取りさせて頂き、
いい方法がないか探りたいと思いますが如何でしょうか。
勝手なお願いで大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
で、その後月日が流れ
2005年10月01日 初面談
2005年11月26日 建築家3名と面接
2006年02月25日 プレゼンテーション
2006年03月19日 設計者決定
そして、更に月日が流れ・・・・
ついに、ついに昨日
2007年6月15日 大安 引渡しとなりました。
正面外観
玄関にて愛車がお出迎え
「お邪魔します」
三兄弟のスペース
将来は仕切っていく予定
子供スペース前、廊下から夫婦寝室を通して海側を見る
広めの洗面所
LDK
「IKEA」のキッチン
設計監理 遠藤建築研究所
工事 大原工務所&辻工務店
その他、関係者の皆様、本当にありがとうございました。
そして、施主のN様
いつも何事もポジティブにお考え頂きましてありがとうございました。
この住宅は、N様でなければ絶対に完成しなかったと思います。
ご家族で愉しみながら、“真の完成”を目指して行く姿が
目に浮かびます。
はじめにこのBLOGに頂いたコメント → LINK の一番最後のコメント
を読み返しました。
また初心を忘れていたような気がします。
・・・反省です。
私を探し出してくださった皆様の期待を
今後も裏切ることのないように精進していきます。
本当に本当にありがとうございました。
関連エントリー
追伸)
昨日は皆さんの諸事情で打ち上げにはならなかったけど
・・・やばいな、その時がきたら、たぶん泣くなぁ。
June 11, 2007
そういえば
最近、リフォームのご相談が多くなってきました。
人それぞれにお考えがあってのこととは思いますが
原因のひとつとして、『敷地面積の最低限度』が
定められたことがあるきがします。
世田谷、目黒、中野・・・
世田谷の場合
建蔽率 40% → 100㎡(30.25坪)
建蔽率 50% → 80㎡(24.20坪)
建蔽率 60% → 70㎡(21.18坪)
所謂、東京山の手(城南)地域以外にお住まいの方にとっては
「20坪なんて、・・・」
と思われるかもしれませんが
とにかく土地の値段がと~ても高いので
エリアによっては20坪でも
¥60,000,000.- なんてことも
ざらにあります。
で、
ここにいくらの家を建てるのか?
これは、金融機関が決めます。
いや
住宅ローンの限度額で決まります。
仮に、¥8000万とすると
建築費に¥2000万
土地と建物比率が、3:1 ?
実際には、若い世代ではローンの限度額も
もう少し厳しくなるので
『土地が買えない!』 ことも多くなったようです。
そこで家づくりの気持ちが揺らぎます。
希望エリアを変えるか?
マンションにしようか?
それとも・・・?
で、
実家をリフォームしよう!
ということもあるのかもしれません。
悪いことではないですよね。
これもmini戸建、mini開発が多く出来すぎた反動でしょう。
¥1000万台のほとんど骨組みむき出し住宅
(とは言っても、土地代もあわせるとすぐに
¥5000万以上になってしまう)
よりもいいのかもしれません。
いろんなことが、その時々の情勢で変ってきますネ。
いい選択のお手伝いができればいいなと思います。